PCの寿命
はじめに
PCの寿命は何で決まるのか、というのをちょっと考えてみる。
そもそもPCの買い替え寿命を感じる所というのは何かと考えると、それは「動作の重さ」というのが一番大きいと思われる。PCの機械的寿命は巷の交換頻度と比べると割と長く、また割と容易にパーツ交換できるので、全体の交換に至る理由としては小さい。(きっかけにはなり得る
で、動作の重さだが、感じる理由は2つある。1つは新しいPCのスペックがlogスケールで進化した場合で、早いマシンを見ると自分のマシンが遅く感じられるのは当然で、不満を覚えることはあろう。ちなみにlogスケールである理由は、人間の体感なんていい加減な代物なので、1.2倍とか変わっても(技術的には割とクリティカルだが)人間にはどうせ分からないと考えるからである。私は最低2倍だと思っている。
もう1つはマシンの進化がもたらした新しいアプリケーションである。最近では特にゲームがその類で、巷のPC性能が上がれば上がる程、自分のPC性能は上がっていないのに要求スペックが上がっていく。新しいゲームをプレイして、あまりの重さに閉口して買い替えを決意するようなことは良くある話である。
とまぁつまるところ、世間のPC性能が急激に上昇している間はPCの寿命が短かくなるという話である。
とはいえ、PC性能と一括りで言ってみても、パーツ毎に状況は違うし、性能進化が早いパーツだけ買い替えていく手もある訳で、買う時にどういうことを考えればできるだけ長い寿命のPCを買えるかの指南にはなる筈だ。
アプリケーション界隈
まずはアプリケーションの最近のトレンドについて見てみる。最近重いアプリは何かを考えてみると、大体3つぐらいに絞られる
- ゲーム
- お絵描きツール
- ブラウザ(Twitterクライアント
まずゲームだが、これは今も昔もひたすらに性能が足りない世界である。最近は飽和してきて軽いゲームも出てきてはいるが、FPSの類は修羅で、寿命の長いPCははなから諦めるべき類である。ただしGPUに依存しているので、デスクトップPCならばGPU挿し替えていくだけである程度は長持ちするかもしれない。
次にお絵描きツールの類である。これは私が専門外だから良く分からないが、一般にメモリ、次にCPUをふんだんに使う傾向があり、GPUは割とどうでも良かった。過去形なのは、GPGPUという形でGPU利用が進む可能性があるからで余談を許さない。まぁこちらも多ければ多い程良い側面あるが、一方で少なくとも何とかなる。
最後にブラウザ。利用層が多い割に進化が激しく、割に重い。他のアプリが進化を止めて相対的に軽くなってることを加味すると重要性が高くなってきている。TweenやmikutterみたいなTwitterアプリも重い。こちらもメモリが重要なアプリになるが、一方で一定量あれば十分で、時代によってこの値が割と変動するのがやっかい。
ハードウェア界隈
次にハードウェア界隈のトレンドを見ていく
CPU
昔から重要なパーツだと思われている。ただ最近は割と性能が頭打ちになっていて、CPUの性能不足で買い替えを感じることは少なくなってきている。
ただ一方でメモリーコントローラ等のノースブリッジ機能を取り込んだことにより、CPUでメモリー規格が制限されやすくなった。またこれに伴いマザーボードとCPUの互換が取りずらくなり、CPUの買い替えはマザボの買い替えを伴うようになった。
トレンドとしてはGPU混載が主流になりつつある。詳細は後程述べるが、GPUそのものの進化が早く、GPUについて性能を気にする人が使えるような代物ではないだろう。
また、低消費電力タイプのものも買いやすくなっており、こちらに付加価値を置いて高いのを買う方針もアリ。
従ってCPUの購入選定は、性能ではなく規格になりつつあり、また規格にしても新しければ新しい程良いという類なので、新しく、場合によっては消費電力の低い物を買うのがオツなのかもしれない。
メモリ
メモリの性能には容量と速度がある。
容量の進化は劇的で、成長速度の鈍化したCPUに比べ非常に早い。また、今後も半導体プロセスのルールに従って増えることが確実視されており、重要度は高い。
一方速度は、基本的に規格が変わらない限り倍とかの速度で変化することは無く、また規格策定のペースも落ちているので、殆ど気にしなくてもいい。
メモリの容量の進化は早いが、幸いにして、メモリの増設は比較的容易で、安くなったら増設すればいい。ただしその時厄介なのは規格で、古くなってしまった規格のメモリは値段が下がらなくなり、増設に余計な負担を強いる。
その時の値段にも依るが、新しいメモリの価格が、古いメモリの倍を下回った程度であれば、若干無理をして少量買ったとしても、その後一気に下がるのでそこまで負担にならない場合が多い。
とはいうものの、コンシューマ向けのDDR4が主流になるのは2015年頃と見られており、DDR3の天下は当面続く。(しかもメモリの普及予想は大抵遅れる方にズレる。
逆に、DDR2のマシンは予想より早く、メモリ不足で寿命を迎える可能性がとても高い。メモリ規格が古いと、新しいメモリ使う為にはCPU・マザー・メモリの総取り替えが必要となり、不利である。
GPU
GPUは軽視されがちであるが、PC界隈で最も性能の進化が激しい部類である。ただ一方で必要なアプリが限られるので、それらに興味が無い人にとっては無縁である場合が多い。
デスクトップマシンであれば、GPUの挿し替えは比較的容易である。一時期は消費電力の増大で電源の買い替えを伴うことも多かったが、最近は頭打ちで、これ以上上がる見込みもない。
ただ問題となるのがマザーボードのPCI-Expressの規格で、高スペックGPUの性能を存分に生かすのであればできる限り新しい規格が必要となり、しかも新しい規格への対応はCPU、マザーボード、場合によってはメモリまでを巻き込む。ただ現在のPCI-Expressは古い規格でも挿せないことは無い。
そもそもGPUの性能はCPUの性能で頭打ちになることも多いので、GPUのみホイホイ挿し替えでどうにかなる代物でもない。
トレンドとして無視できないのが
というものがあり、一般に普及した場合、GPUから買い替えを必要とする場面がでてくる可能性はある。あるが、普及するかは未だ不透明な部分も強く、また滅茶苦茶なハイスペックGPUが要求されるようなことも無い筈である。
HDD
HDDにも容量と速度がある。容量の進化はGPUに次ぐ速さで、メモリの容量の進化すらも凌ぐ事がある。ただこれも必要な人は必要だし、要らないと言えば要らないという側面が強い。また、増設が最も容易な類のパーツでもあるので、無理して高容量のものを買う必要性も感じない。OS・ソフトウェアは容量面で肥大化しつつあるものの、幸いにもHDDの進化には大分追い付いていないのであまり気にする必要もない。
またUSB3.0で増設HDDのネックも減り、クラウド化の流れもあり、HDD容量の重要性は一貫して減少傾向と言える。
ただし、高容量HDDというものは規格の壁にぶち当たることが往々にしてある。最近深刻なのは2TBの壁で、根本的な解決するには、BIOSをUEFIに置き換える必要があり、マザーボード、ひいてはCPUの置き換えが要求される。
一方でHDDの速度は容量の平方根でしか上がらない為、全く気にする必要が無い。また、インターフェースもSATAへの置き換えが完了した現在となっては、SATAである限り不都合は生じない。
SSD
数年前に遅いHDDの救世主として現れたSSDは、一部とはいえ深く根付いているようで、体感速度に極めて重大な影響を与えた。すなわち、遅々として進まないHDDの速度進化に劇的な改善を施し、またその差は広まる一方である。
コストの問題でSSDが主流になるかは不透明である一方で、その速度は買い替えを決意させるには十分なものがあり、PC寿命へ対する影響力はかなり高い。
SSDは今のところHDDと同じインターフェースを用いており、SSDに対する特別な何かを要求することはないが、その速度進化故にインターフェースがネックになりやすく、古いHDDインターフェースしか供えないPCへの陳腐化速度を劇的に早めた。
ただし、インターフェースはPCI-Expressで拡張可能であり、PCI-Express x1を搭載したものであれば問題は起きずらい。しかし一方で、速度がきちんと出るようなボードは比較的高価である、という問題と、PCI-Express x1の上限を何時越えるのか不透明な点が問題となる。